あの窓の向こうには 語らない
人生があった
いつの頃か僕は
その窓を 見守るようになっていた
まだ僕に家族があったときに
あなたはもうひとりだった
油絵のように 動かずに
ただあなたは ただ外を見てた
あなたのその目には
何が映っていたのか
ビビアン・ウェイの人
雨の街 LONDONは悲しい雨
切ない雨 メロディを包む雨
きっとあの窓のカーテンは
人知れずいつか閉ざされる
そんなあなたが一度だけ
笑顔を見せたことがある
二人の幼子があなたの元へ駆け寄って手をふった
あなたがはじめて
あなたが微笑んだ
今日 あの日のあなたを
ふと思い出した ふと思い出した
一度きりの笑顔を 一度きりの笑顔を
はるか昨日のこと